業務委託契約は2種類
IT業界の仕事は業務委託する機会がとても多いです。
アイ
ソフトウェア開発の仕事はハードウェア開発と違って物理的なモノがあまり必要ありません。せいぜい、PCとネット環境くらいです。
そのため、場所や設備に縛られることがないので、社外にも委託しやすいという特徴があります。
業務委託を行う場合には、委託先と契約を結ぶことになります。
この業務委託契約には「請負契約」と「準委任契約」の2種類があります。
この2つの契約には様々な違いがありますので、トラブルを避けるためにも、内容を正しく理解しておくことが大切です。
法律で定められているのは、これから紹介する「請負契約」や「準委任契約」です。
ロボ千代
- 業務委託契約では、委託先に対して、具体例な業務遂行方法や労働時間などを指揮命令することはできない
(請負契約でも準委任契約でもどちらも同じ) - 請負契約は、「決められた成果物を納品する」契約なので、委託先は仕事を最後まで完成させる義務がある
- 準委任契約は、「一定の知識・スキルを持つ人が契約した時間だけ働く」契約なので、仕事を完成させる義務はない
委託と派遣の違い
請負契約と準委任契約はどちらも「委託」という契約形態ですが、「派遣」との違いをまず確認しておきましょう。
派遣と請負(委託)と違いをきちんと理解しておかないと「偽装請負」になってしまうことがあるので要注意です!
ロボ千代
派遣は直接雇用に近く、派遣先が派遣会社の労働者に直接指揮命令できます。
指揮命令というのは、具体的な業務の方法や手順、労働時間などを指します。
なので、例えば、派遣先企業に務めるアイさんは、派遣労働者に対して
アイ
それと、毎週水曜は9時から会議だから
それまでに出社してね
のように業務の指示をすることができます。
一方、業務委託契約では、委託元が委託先の労働者に対して直接指揮命令してはいけません。
委託先の労働者は、あくまで委託先に雇用されている労働者であり、委託元が雇用しているわけではないのです。
なので、業務に関する直接的な指示を出すことはできません。もし、そのような行為を行った場合、法律違反となります。
このように請負契約(委託契約)は労働者に指揮命令することはできないのですが、
その契約を無視して、あたかも派遣労働者のように指揮命令を行ってしまうこと、これが問題となった「偽装請負」です。
ロボ千代
請負契約と準委任契約
さて、派遣と委託を違いをご理解いただいたところで、本題の「請負契約」と「準委任契約」の話に入りましょう。
請負契約とは「仕事を最後まで完成させ、納品された成果物」に対して報酬を支払うという契約です。
対して、準委任契約は「一定の知識・スキルを持つ人が契約した時間だけ働くこと」に対して報酬を払います。
アイ
どういうこと?
ロボ千代
仕事の完成
請負契約は、請け負った仕事を完成させる義務があります。
請負契約は納品物に対して報酬を支払うわけで、その過程に対しての報酬ではないからです。
一方、準委任契約では、仕事を完成させる義務はありません。これは、納品物ではなく発注側の業務を代行したり、お手伝いをしてもらう契約だからです。
「コンサルタント」などが典型的な例です。
コンサルタントは、例えば会社の戦略などに対してアドバイスはしてくれますが、その戦略がうまくいくことを保証する義務はありません。
たとえろくな戦略が出てこなかったとしても、コンサルタントとしての準委任契約は満たしているということです。
別の言い方をすると、請負契約は仕事の結果(成果物)を、準委任契約は仕事の過程に重きをおいているともいえます。
アイ
準委任契約があるなら、委任契約もありそうですよね。実際、委任契約という形態もあります。
何が違うかというと、「法律行為」に関係するかどうかです。例えば、弁護士との契約は「委任契約」になります。
瑕疵(かし)担保責任
請負契約では、完成された納品物に対して責任を負います。なので、納品物に何か不具合(瑕疵)があった場合、それを修正する義務を負います。
これを瑕疵(かし)担保責任といいます。
準委任契約はもともと納品物に対しての契約ではないわけですから、瑕疵担保責任はありません。
ただし、だからと言って、いい加減なものを納品されて知らん顔されては困ります。
なので、準委任契約の場合は、善管注意義務というものがあり、不具合がないように努力する義務を負うのです。
ロボ千代
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