AIは魔法の杖ではない
近年は空前のAI&ビッグデータブームです。どの会社もこのブームに乗り遅れまいと躍起になってデータを集めています。あなたの会社にもビッグデータと呼べる何らかのデータがあるかもしれませんね。
この膨大なデータを、ディープラーニングなどのAI技術を使って分析すると素晴らしい発見が得られる―
そんな風に考えていないでしょうか?
アイ
そんなパターンも多いんです
ロボ千代
なぜそうなってしまうのか、そうならないためにどうすればいいのでしょうか?
データをめぐる2つのアプローチ
データの分析・活用へのアプローチの方法は大きく2つあります。
- データ起点のアプローチ
- ゴール起点のアプローチ
まずデータを広く集め、それらを分析して新しい知見を得る
達成したいゴール・目的や解決したい課題があり、そのために役立つ知見を得るためにデータを分析する
前者の「データ起点のアプローチ」は取り組みやすいのですが、成果につながりにくいという問題があります。
実は多くの人がデータ活用できずにハマってしまうのは、このデータありきのアプローチに固執してしまうからなのです。
この方法は「今年こそは健康な体を手に入れたい」と思い、正月から近所を走り回ったり腕立て伏せをやり始めるのに似ています。
そして、しばらくしても思うような成果が得られず、そのうちあきらめてしまう…皆さんもそんな経験はありませんか?
ロボ千代
「健康になりたい」といってもそのゴールは様々です。
「筋肉をつけてムキムキになりたい」という人もいれば、「ぜい肉を落としてシェイプアップしたい」という人もいるでしょう。
ゴールが違えば、そのための道筋や行動も違ってきます。
逆に言えば、具体的な行動を起こすには、具体的なゴールが必要ということです。
1つの例を示しましょう。
次のデータはある人の1週間の摂取カロリーを示したグラフです。
この図から何か役立つ発見が得られるでしょうか?
・水曜日は夕食の摂取カロリーが多い
・土曜日は朝食を食べていない
ということが、このデータから読み取ることはできます。
しかし、それがわかったとして、何の目的もイメージしなければ「ふーん、そうなんだ」としか言いようがないのではないでしょうか?
ですが、具体的なゴールや目的がイメージできれば話は違います。
たとえば、「筋肉をつけてムキムキになりたい」という目的を持っている場合、このデータだけでは足りないことに気づきます。
筋肉の成長にはタンパク質が重要ですから、摂取カロリーだけでなく、タンパク質の摂取量も必要であると考えるでしょう。また、体重や体脂肪率の推移も知りたいと思うはずです。曜日別のデータよりももっと長期的な時系列データも必要かもしれません。
「ぜい肉を落としてシェイプアップしたい」という目的の場合はどうでしょうか?
ぜい肉を落とすということは、摂取カロリーよりも消費カロリーを多くする必要がありますから、きっと消費カロリーのデータも必要になりますね。
このように目的が違えば、必要なデータも違ってきます。
つまり、手元にあるデータを分析して活用方法を見出すのではなく、まず取り組みたい目的や課題をきちんと設定し、そこに至るために必要なデータを集めて分析していくのが本来の筋道なのです。
ですが、AIがあなたやあなたの会社の抱える課題を見つけてくれるわけではないのです!
ロボ千代
アイ
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